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天然醸造、木桶での長期熟成が本物の醤油の味を造る。

自遊人編集部

2017.09.21

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目次

1.変わりゆく醤油の製法

2.微生物が醸し出す味

3.国産丸大豆醤油の希少性

いい醤油の見分け方ポイント
原材料は大豆、小麦、食塩のみであること。
大豆は国産丸大豆であること。
本醸造仕込みが昔ながらの醸造法。
冷暗所で保存され、なるべく鮮度がいいこと。
添加物が使用されていないこと。

変わりゆく醤油の製法

 かけてもつけてもよし、煮たり焼いたり炒めたりと用途は幅広く、素材の味を引き立たせる万能調味料。塩気だけでなく旨みや甘み、香りが複雑に絡みあった風味が素材にコクと奥行きを与え、焼きつければ芳香が食欲を誘います。
 今や日本だけでなく世界で愛されている醤油ですが、製法が確立したのは江戸時代の中頃のこと。遠く遡れば発祥は奈良時代、中国から渡来した「醤(ジャン)」だといわれます。醤は食材を塩で漬けこんだもので、このうち穀物を使った穀醤(こく しょう)が味噌や醤油のルーツとされていますが、直接、醤油につながる調味料が登場するのは室町時代。味噌の溜まり汁の利用から発展したと考えられ、江戸中期までには今のような製法の濃口(こい くち)や淡口(うす くち)、再仕込み醤油も登場。和歌山の湯浅(ゆ あさ)、千葉の野田や銚子(ちょう し)、兵庫の龍野(たつ の)といった名産地が台頭する一方、各地にその土地と食に根づいた醸造元が数多く生まれました。
 醤油とは大豆と小麦、食塩を素材とし、麹菌をはじめとする微生物の力を借りて造られるもの。自然の営みを利用し、長期熟成するのが本来の製法。しかし現在では前ページで紹介したように、植物性タンパクから化学的に作りだしたアミノ酸液が主原料の混合醸造方式や混合方式も認められています。
 現在、この2方式の醤油が約2割を占め、残りが「本醸造」醤油ですが、一口に本醸造といっても玉石混淆(ぎょく せき こん こう)。発酵の過程で加温するなどの温度管理を行って発酵を早め、4カ月程度で製品化したものも含まれます。原料には丸大豆ではなく脱脂加工大豆(食用油の原料として油を抽出した後のフレーク状の大豆)も広く使われますし、醸造後に甘味料や、旨みを加えるためにアミノ酸(前述のアミノ酸液とは別物)などを添加した商品も多いのが実情です。
天然醸造、木桶での長期熟成が本物の醤油の味を造る。

微生物が醸し出す味

 もちろんその一方で、美味しい醤油造りを目指し、本来の製法で造られている醤油もあります。ここで工程を紹介しているのはそのひとつ、長野県松本市の大久保醸造の醤油造り。大久保醸造の醤油は質の高さで知られ、とくに上質のものは国産材料にこだわった天然醸造で造られています。その風味の素晴らしさは驚くべきもので、蕎麦名人として名高い『達磨(だる ま)』の高橋邦弘(くに ひろ)氏が「ここの醤油以外ありえない」と絶賛、全国の名だたる蕎麦屋で使われてもいます。
 詳しい工程は左ページに譲るとして、まずは醸造の仕組みを説明しましょう。醤油醸造は高温で蒸した大豆と炒って砕いた小麦を混ぜ合わせ、種麹(たね こうじ)を加えて「醤油麹」を造ることから始まります。濃口醤油では大豆と小麦の量はほぼ1:1の等量仕込み。大豆は十分に加熱することでタンパク質の性質が変わり、小麦も炒ることでデンプンがアルファ化し、同時に表面積が増えて麹菌の作用が及びやすくなります。専用の室で大豆と小麦に十分に麹菌を繁殖させる「製麹(せい きく)」は3日がかり。この間に各種の酵素が造り出されます。完成した醤油麹に食塩水を加えて木桶に仕込みます。
 仕込んだ醤油麹は、櫂(かい)入(い)れ(櫂でかき回す作業)を行いつつ、じっくり1年以上寝かせます。はじめのうちは各種酵素が諸味(もろ み)に働き、プロテアーゼが大豆のタンパク質を旨み成分であるアミノ酸に、アミラーゼが小麦のデンプンを糖分に変えていきます。さらに空気中や木桶に棲み着いている乳酸菌が作用して有機酸をつくり、続いて酵母菌の働きが活発になってアルコール発酵などが起きます。これによって甘・辛・酸・苦・鹹の五味や、300にものぼるといわれる香り成分が生まれ、醤油独特のまろやかで奥行きのある風味が醸し出されます。
天然醸造、木桶での長期熟成が本物の醤油の味を造る。

国産丸大豆醤油の希少性

 こうした高品質の醤油をほかと区別するために、JASの規定では酵素添加や温度管理をせず自然に任せて発酵熟成し、添加物を加えない醤油にのみ「天然」「自然」の表示ができます。ただしこの場合も丸大豆ではなく脱脂加工大豆を原料としてかまいません。実は丸大豆を原料にした場合、諸味を圧搾した後得られる生揚(き あ)げ醤油には大豆の油分が浮かびます。これは醤油油(しょう ゆ あぶら)と呼ばれるもので、現状では廃棄するほかない存在。一方、脱脂加工大豆が原料なら醤油油はごくわずか。つまり脱脂加工大豆を使えば、それ自体が安価なだけでなく資源の有効利用(同時に生産者には処理の手間やコストがかからずラク)という側面もあるのです。そのため醤油原料の大豆に占める脱脂加工大豆の割合は、平成20年の農林水産省の統計で75%にも及んでいます。まろやかで深みのある丸大豆製の醤油に対し、脱脂加工大豆製の醤油はキレのいい味。脱脂加工大豆は手頃な値段の普及品の原料として欠かせない存在になっていますし、味は好みの問題なので評価はわかれるところでしょうが、本来の醤油とはやはり違うということは心に留めておきたいものです。
 醤油原料における丸大豆の割合は残りの25%。国産大豆に限ればなんとわずか2・4%にすぎません。国産素材にもこだわり、本来の製法で造る本物の醤油は、今や希少なものなのです。(↑PHOTO 2D、E入る)

(雑誌「自遊人」2011年3月号に掲載)
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