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伝えたい味。新潟の郷土料理「のっぺ」

自遊人編集部
〜 『自遊人』特集「伝えたい味。」より転載〜

2018.03.06

Index

そもそも、のっぺとはどんな料理なのでしょう?

地域によって異なるばかりか、それぞれの家庭によっても様々

「トト豆」を飾って仕上げる代表的な下越、新潟市の「のっぺ」。

味の染みた根菜が美味な具だくさんの下越、村上の「大海」

片栗粉でとろみをつけた上越、糸魚川の煮物「こくしょ」。

新潟の郷土料理として知られる「のっぺ」は地域によって、
家庭によってだしや具材、味付け、盛り方など様々。
なんと名前まで場所によって変わってしまうのです。
下越・新潟市の「のっぺ」、上越・糸魚川の「こくしょ」、下越・村上の「大海」。
中世から伝わり、それぞれの地域で発展してきた 「のっぺ」
のバリエーションを、どうぞお楽しみください。

そもそも、のっぺとはどんな料理なのでしょう?

そもそも「のっぺ」「のっぺい」 「ぬっぺ」などと呼ばれる系統の料理は、新潟だけではなく広く全国に伝わっています。

もともと禅寺で作られていた料理が広がったものといわれ、おおまかに言えば、野菜や乾物を煮込み、くず粉(今では片栗粉)でとろみをつけた料理です。

そのとろみや、具材として必須の里芋のぬめりが、「のっぺ」の名前の元になっているとも言われています。漢字にすると濃平、能平、濃餅などと書くようです。

新潟以外で有名なのが奈良の「のっぺい汁」で、島根県津和野や茨城にも「のっぺい汁」があります。また、ほかにも岩手県南部や山形県、和歌山県の「にっぺ」「にっぺい」、広島県の「煮 ごめ」、高知県の「ぐる煮」、島根県や愛媛県の「こくしょう」 「こくしょ」なども、のっぺと同じ系統の料理です。
 
ちなみに、農林水産省が平成19年に選定した『農山漁村の郷土料理百選』には、新潟の郷土料理が「のっぺい汁」という名前で選ばれてます。でも新潟県 内で食べられているものには “汁”と言われるほど水分はな く、煮汁の少ない“煮物”が多く「のっぺ」と呼ばれているため、ここでは基本の呼び方を「のっぺ」とします。
 
同じ新潟県内でも、だしの素 材、具の種類、また盛る器などは様々。多くは人 が集まる時の料理として作られるのですが、一部の地域では、祝儀で食べる際には具の根菜を薄切りにし、不祝儀の際には角切りにするなど、目的によって切り方を変えたり、盛りつけ方や具を変えたりすることもあるようです。さらに、くず粉や片栗粉でとろみをつけるかどうか、温かいまま食べるのか冷た くして食べるのか、という差まであるのです。

地域によって異なるばかりか、それぞれの家庭によっても様々

だしは、昆布、鰹節、貝柱、煮干し、椎茸、あごなど。具は、鳥肉、大根や人参、ごぼう、タケノコ、蓮根などの根菜を中心とした野菜類、きのこ、こんにゃく、油揚げ、かまぼこ、ちくわなど、地域によって異なるばかりか、それぞれの家庭によっても様々なものが使われます。

ただ、共通して必ず使われているのが里芋。これは前述の全国各地の「のっぺい」でほぼ必ず使われる具で、里芋を煮込んだ時のとろみが大切なのです。
くず粉をいれるかどうかという点では、同じエリアでも地域ごとに違いはあるのですが、大まかに言うと中越、下越では加えず、上越では加えることが多く、佐渡にはそもそものっぺ はあまり食べられないという傾向があるようです。

「トト豆」を飾って仕上げる代表的な下越、新潟市の「のっぺ」。

日本海側でも有数の賑わいを見せた新潟湊。
町に張り巡らされた堀の脇には柳が植えられ、その美しさに「柳都」と呼ばれてきました。いまも街中には歴史 ある料亭がいくつも残っています。

そんな賑わいの中心地から車で 5 分ほど離れた場所に建つ料亭が『日本料理行形亭』。創業は元禄年間といわれ、300年以上の歴史を持つ老舗です。
 
昼夜とも完全予約制ですが、県外のお客様から“新潟らしい料理”をリクエストされる際には「のっぺ」が登場することも。

「のっぺは、人が集まる時にいつも作る昔からの家庭料理ですが、家によって具が違います。 祝儀と不祝儀で切り方が違う場合もありますし、お椀ではなくて大平という器に盛ることもあるんです」と話してくれたのは11代目の行形和滋さん。

ご自宅では、お正月にも食べていたそうです。 昆布や鰹、煮干しのだしに、里芋をはじめとした根菜と、こんにゃく、かまぼこ、干し椎茸、 貝柱が入り、複雑な旨みに箸が進みます。

そして欠かせないの が仕上げに加える“トト豆”です。トト、つまり魚の豆を意味するこの食材の正体は“いく ら”。皮が固くなり過ぎないようにギリギリのタイミングを見極めて火を通し、濃い塩水につけておくので 1 年を通して食べられるのだとか。むっちりとした独特の食感になっています。
「のっぺが大平で出てきた時には、客はおかわりをするのが礼儀なんですよ」
 
大きな鍋でたっぷりと作って、たっぷりと食べてもらう、 新潟市の家庭に根付いたもてなし料理なのです。
伝えたい味。新潟の郷土料理「のっぺ」

味の染みた根菜が美味な具だくさんの下越、村上の「大海」

平安時代から鮭を特産とし、江戸時代後期には、世界に先がけて鮭の回帰性に着目した増殖を行うなど、「鮭の町」として知られてきた村上。

中心地には町家が残り、黒板塀の細い路地も風情があります。
この町で、 270年の歴史を持つ老舗『料亭能登新』で作ってもらったのが、地元で食べられている 「大海 」です。

この名前の由来を 11 代目にあたる料理長の山貝誠さんに聞くと 「昔は大海椀という大きなお皿に盛っていたことから、料理も大海と呼ばれているんです」
 
今回は、“少しでもその雰囲気を”ということで大きな土鍋で出してくれましたが、本来はもっと大きな、一抱えもあるほどの器を使うのだそう。
お正月、 結婚式の二次会、お祭り、葬儀など、人が集まる騒ぎものの時には各家庭で必ず作る料理ですが、家庭によって具材はさまざま。ただ、意外にも鮭はあまり使われず、いくらが乗ることも無いのだとか。

「母方の祖母の味なんですが、 うちでは代々、豆もやしが入っています。ちくわ、簀巻き豆腐も、ほかの家庭ではあまり入らない具かもしれないですね。でも“うちのお婆ちゃんの味がいちばん美味しい”と思ってますから(笑)」
 
という山貝家に伝わる大海は里芋などの根菜、糸コンニャク、 塩漬けにしてあったタケノコなども入り、かなり具だくさん。
また、鳥肉や干し椎茸などが入っているので、こくがありますが、味付けは薄めの醤油味。豆もやしのしゃきしゃきした歯ごたえがクセになり、箸がとまらなくなります。

もともと、前日に大量に作って煮含めておく料理なので、冷めてもおいしく、 特に夏は常温のままで食べるのだそう。基本的に家庭料理なので、能登新の通常のコースには入りませんが、要望があればコースに組み込んでもらえます。
伝えたい味。新潟の郷土料理「のっぺ」

片栗粉でとろみをつけた上越、糸魚川の煮物「こくしょ」。

北陸新幹線が開業し、東京から最短2時間でアクセスできるようになったのが、 新潟県の西の端、富山に隣接する糸魚川。

ここは古くから北国街道の宿場町として栄え、また新潟湊と同様に北前船の寄港地としても繁栄してきました。
駅からほど近く、日本海を目の前にした町並みに、往時はずらりと並んでいたという料亭のひとつが、江戸時代後期、文化文政期に創業したという『割烹鶴来家』です。

「正月や法事などで人が集まる時に作る料理なのですが、実は古文書にも、こくしょは載っていないんです。 法事の忙しい時などに、残った野菜などあり合わせのものをみんな入れて、裏方で食べていたものではないかと思うんです」とご主人の青木孝夫さん。

また、奥様も 「お通夜の時のお客様には“夜食膳”というお弁当箱みたいな膳に詰めた夜食振る舞いがあるんですけれど、そこにも、こくしょは入らないですね」
 
糸魚川のこくしょは、汁はほとんどなく、くず粉や片栗粉を少し入れて、とろみをつけてあります。というのも、新潟市や村上市のある下越地方には五泉市など里芋の名産地がありますが 「それに比べると上越は土が違うから、里芋もあまりとろみがつくようなものは出来なかったからかもしれないですね」とご主人は考察します。

実は青木さんは地元の食の歴史研究にとても熱心。食通・北大路魯山人が糸魚川に滞在した際に、糸魚川出身の文人・相馬御風をもてなすために作ったという料理を参考にした献立を開発したりもしているのです。

魯山人が作った料理の詳細は記録されていないのですが、近くの浜から、その季節に旬であった鯛などの食材を手に入れていたことや、 魯山人好みの調理方などの文献を調べて作られた山椒焼きや琥珀揚げなどの料理の数々は 『祝いご膳』として鶴来家のコースになりました。欄間や障子組子など、部屋ごとに趣向が凝らされた風情ある個室で堪能できます。


(雑誌「自遊人」2015年5月号に掲載)
伝えたい味。新潟の郷土料理「のっぺ」
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