ドイツの医師がそれを持ち帰って研究したことからヨーロッパでも有名になり、現在も様々な研究が行われています。
エキナセアには、白血球のひとつであるマクロファージを刺激し、インターフェロンなどウイルスに対抗する物質を活性化させる効果があることがわかっています。
特にメディカルハーブとして医療へのハーブ利用が盛んなドイツでは、「エキナセアには免疫活性効果があり、慢性的な炎症の治療に有効である」と認められ、サプリなどにもこの効用が明記されているほどです。
最近ではイギリスのカーディフ大学で、エキナセアの抽出物を摂取した人と、成分が入っていないプラセボを摂取した人の間で、呼吸器などへの症状の有無を調べる実験が行われ、明かな差があるという結果が発表されました(下のコラム参照)。
原産国のアメリカでもその効能は広く知られ、現在ではサプリメントとしても非常に人気があります。
アメリカのマーケティングリサーチ会社が調べた、ハーブ類サプリメントの2010年売上ランキング。エキナセアは6位に入っています。ほかにもアメリカのサプリメント売上の1割を占めるという業界紙の調査結果もあります。
風邪などの上気道感染やインフルエンザの治療や予防に多く使われ、「風邪の引き始めにはエキナセア」というのは、常識になっているほど。
さらに細菌やウイルスなどに直接作用する、抗菌、抗ウイルス効果もあると言われます。
免疫力向上が期待できるため、冬の風邪対策にはもちろん、花粉症などアレルギーに悩む人にも愛飲されています。また近年では悪性腫瘍に対する効果の研究も進められ、今後、ますます注目されそうなハーブです。
アメリカでのハーブ類サプリメント2010年売上ランキング
ハーブ[学名] |
売上額 |
|
1位 | クランベリー [Vaccinium macrocarpon] | $35,806,000 |
2位 | ソーパルメット(ノコギリヤシ) [Serenoa repens] |
$18,839,780 |
3位 | 大豆 [Glycine max] | $16,984,640 |
4位 | ガーリック [Allium sativum] | $16,976,220 |
5位 | イチョウ [Ginkgo biloba] | $15,017,010 |
6位 | エキナセア [Echinacea spp.] | $12,822,940 |
7位 | マリアアザミ [Silybum marianum] | $11,266,790 |
8位 | ブラックコホッシュルート [Actaea racemosa] |
$9,303,047 |
9位 | セントジョンズワート [Hypericum perforatum] |
$8,871,864 |
10位 | 朝鮮人参[Panax ginseng] | $7,283,017 |
エキナセアとは?
北米の先住民族が毒蛇に噛まれた時の解毒や、風邪、腫瘍、天然痘などの治療に使っていました。中心部から下がる花びらの様子が馬簾(江戸時代の火消しが使う纏に付いた飾り)に似ていることから、日本では馬簾菊と呼ばれています。